ブレインストーミングとは何か, なぜやるか
ブレインストーミングとは何か
集団でアイデアを出し合うことで創造性の高いアイデアを捻出する方法論。略してブレストなどと言われる。この方法についてはWikipediaが詳しい。
掻い摘んで言うと次のようである
重視するのは創造的なアイデアであり、そのためには多少突飛であっても量を出すことを優先する。そしてそのためにはどんなアイデアでも萎縮せずに出せる環境づくりが重要になる。
ブレインストーミングはどうか, 私の場合
今の会社に入り、上司がこの方法が好きで何度かやらされたことがある。アイデアを出す際に結局、司会役の上司が相槌程度にはなにか言葉を挟むためにそれがアイデアへの評価となり、やがてアイデアを出すことに萎縮するし、最終的に選ばれるアイデアは上司が出したもの、というのが常だった。そんなわけでブレストという形式を採用することはなくなった。
結局の所、この手の方法論というのは「上手くやれば上手く行くが、向き不向きもあるよね」という当たり前にも思える前提がある。しかし、これは果たして本当だろうか? 多くの人にとってこの方法は有効なもので、上手く活用出来ているのだろうか。
ブレインストーミングを何故やるか
Wikipedia を見ても、どのように実践するかは詳細に書いてあっても、その効果については何も触れていない。ブレインストーミングは Alex Faickney Osborn - Wikipedia が開発したとされ、1942年出版の彼の著書 "How To Think Up" で既に "Brainstorming" というそのままの名前で紹介されている。
この効果を調べようとした研究はいくつかある。1991年のメタ分析論文によれば
- Productivity loss in brainstorming groups: A meta-analytic integration B Mullen, C Johnson, E Salas - Basic and applied social psychology, 1991
Generally, brainstorming groups are significantly less productive than nominal groups, in terms of both quantity and quality.
と結論付けられている。つまり頭数を揃えてもそれを活用する方法としてブレインストーミングは多くの人間にとっては適切ではない。
さて、"A Meta-Analysis of Group Size Effects in Electronic Brainstorming", 2007 によれば、研究はとっくの1980年代には エレクトロニックブレインストーミング (EBS) にシフトしており、この論文ではこちらの効果について検証している。EBS というのは従来のブレインストーミング (Verbal BrainStorming) のアイデア出し部分について改良したもので、アイデアを出す部分は結局一人で考える方がマシだというのが経験的に分かっていたので、そこを一人で、紙か何かに書き出し、皆のが集まったら他人のアイデアを見て、また一人でアイデア出しをする、というプロセスに変更したもの。同論文ではその効果について調べた論文のメタ分析を行っている。
We found that groupsize is a significant factor in predicting the performance of EBS relative to verbal brainstorming and nominal group brainstorming.
とあり、四人を超えると従来のブレストを超え、人数が増えるにつれて効果は増し、10人を超えると、個々で考えて最後にアイデアを集めるという方法 (nominal group) より良かった。
正しいブレストのやりかた
- 10人いない場合
- ブレストではなく、各自で勝手に考える
- 10人いる場合
- ブレストの改良版であるEBSという手法を採用する